みんなに関係あるのに、だれも大っぴらに話そうとしない。
大阪大学の学生有志が集まって、「性の多様性」「LGBTQ」をテーマとした映画を10作品、上映します。
”性を問うことで、見えてくる生き方があるのではないか”
これが大阪学生Queer映画祭の理念です。
ある家族の肖像 松井蛙子監督
同性カップルと愛犬から成る「家族」のありのままの姿を映した短編ドキュメンタリー。両親にも地域の人にも認められている、彼らの愛のカタチ。しかし、まだこの国の法律では認められていない。いま観てほしい、ここに生きる“ある家族の肖像”。(香川)
お好み焼き「千両」の名物店主、おかまの“ひろ子ママ”の生き方を絵取ったドキュメンタリー。自分らしく生きたいと、故郷をあとに流れ着いたのは大阪の新世界。悩んだり、恋をしたり、仲間と笑いあったり...52年ぶりの帰郷と共に、ひろ子ママの半生を振り返る。(香川)
アメリカ、アトランタで2014年から行われている実在のトランスジェンダー・ボディビル・コンテストを取材したドキュメンタリー映画。手術痕も、生き様も、全てをステージの上でさらけ出すボディビルダーたち。世界に自らの身体を問うその姿には、悲壮感など漂っていない。むしろ個人の覚悟、決意に裏打ちされた、晴れやかな笑顔が目に焼き付く。(安積)
愛と法 戸田ひかる監督 (C)Nanmori Films
法律事務所を営む弁護士のカズとフミは、公私ともに良きパートナー。そして、「夫夫」である彼らの事務所に来る依頼人もまた、さまざまな葛藤を抱えた「マイノリティー」だった。これは、“法”で一概に線引きできない“愛”の深さに直面するドキュメンタリー。(香川)
「セックスは単に身体の運動じゃない、それ以上のものだ。ジェンダーでもないし…セックスは、全てだ」Queerな人びとがさまざまな性の経験について語るドキュメンタリー・ムービー。型に捉われない、豊穣な性の経験の声を聞こう。(野上)
80歳を迎えるアレハンドラは、長年連れ添ってきた浮気癖の治らない夫との熟年離婚を試みるが、娘たちは大反対!政治家やシングルマザー、同性婚など、それぞれの道を歩む娘たちと母の思いが交錯する。母と家族のゆくえはいかに…。本作品は、監督がリスペクトする小津安二郎の『東京物語』を擬えている。(山國)
HIV陽性の女性たちが自身の人生に芝居を通して向き合っていく様を追ったドキュメンタリー。社会はHIV陽性の女性たちに沈黙を強いてきた。そんな彼女たちが今自分のことを話しだす。(沈)
鬼郷 チョ・ジョンネ監督
日本による植民地支配を受けていた朝鮮半島では、女性だから、朝鮮人だからという理由で幾人もの若い女性が悲惨な暴力を受けていた。この映画は、歴史上の事件として距離を置きがちな日本軍従軍「慰安婦」問題が、今なお続く人権の問題でもあると気付かせてくれるだろう。(沈)
女は女である メイシー・グーシー・シュン監督
趙凌風は、厳格なキリスト教徒の家庭に育ち、男子用の制服を着て学校に通う中学生。だけれど、自分が男性であることに対して強烈な違和感を抱えて生きている。もうひとりの主人公・宋紫洳は、夫と子供と一緒に暮らしているが、20数年前に手術を受けたトランス女性であることを隠している。2人を取り巻く人々とともに、トランス女性の抱える葛藤と決意を描く。(高田)
コラージュ:田中優菜 / デザイン:五十里翔吾
企画協力:大阪大学 21世紀懐徳堂
後援:関西クィア映画祭、大阪アジアン映画祭、フィリピン大使館、在名古屋ブラジル総領事館
ポスターのデザインをしてくださった田中優奈(Twitter: @yuuna_t0928)様より、デザインに込めた思いについてご紹介いただきました。
本ポスターのテーマは「撹乱」です。人々の個性を示す色がはじけて混じり合い、形や思考も分解され、再構築される様子を表現しました。大阪学生Queer映画祭が、性に対して私たちが持っている観念を分解し、より広く色とりどりに再構成してくれる、そんなイベントになることを願っています。
お知らせ
当イベントは、「阪大Queer映画祭」という名称での開催を予定しておりましたが、大阪大学の規定に従い、「大阪学生Queer映画祭」へと名称変更しました。実行委員会は阪大生によって構成されており、名称の変更によって、運営形態が変わるということはありません。